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2026.02.13
5B病棟看護師 スピーチ発表!⑫
今日は私が日頃から大切にしている看護観の一部をお話しします。
皆さんは、日頃「グリーフケア」について考えたことはありますか?グリーフとは、日本語で「悲嘆」を意味します。
悲嘆とは、近親者との死別や別離をはじめとして、大切な存在を失ったときに生じる心の反応のことです。それは涙として現れることもあれば、言葉にならない沈黙や、時間が止まったような感覚として現れることもあります。
私たち医療者は、日々の現場で多くの死別の場面に立ち会います。
私たちにとっては1人の患者さんの死であってもご家族にとっては大切な存在との別れになります。残されたご家族にとっては「人生を大きく変えてしまう出来事」であることを忘れてはいけないと感じています。
私自身、10年前に7歳上の兄を急な病気で亡くしました。
そのとき私は「子どもに先立たれ絶望する母を支えなければ」と必死でした。
自分は泣いてはいけない、しっかりしなければ、と自分に言い聞かせ、気づけば涙を流すことすらできなくなっていました。
誰にも自分の気持ちを話すことができないまま、時間だけが過ぎていきました。
周囲は日常に戻っていくのに、自分だけが取り残されているような感覚でした。
「悲しい」と口に出せないまま過ごす時間は、想像以上に苦しく、孤独でした。
その経験から私は、悲しみは時間が解決してくれるものではなく、「誰かに話してもいい」と思えること、そして「話を聞いてくれる人がいる」と感じられることが、どれほど救いになるかを知りました。だからこそ私は、残されたご家族の気持ちに寄り添える看護師でありたいと日々思いながら看護をしています。
霊安室でお見送りをした後、私はご家族を玄関までお見送りをし、その際に「もし、最後の入院中の様子をもう一度聞きたい、誰かに話したいと思ったときは、いつでも病棟に連絡してください。わかる範囲でお話させていただきます。」と伝えるようにしています。
一言かもしれませんが悲しみの中にいる人にとっては、「誰かに話してもいい」「自分の気持ちに素直になってもいいんだ」と感じてほしいと思っています。
これまで実際に電話がかかってきたことはありません。
それでも私は、ご家族がどこかでふと「誰かに話してもいいんだ」と思い出してくれたらと思っています。
グリーフケアは特別な技術や言葉ではなく「悲しみはその後も続いている」ということを忘れずにいる姿勢なのだと思います。
そして、医療が終わったあとも、その人の人生は続いていくという視点を持ち続けることなのだと思います。患者さんの最期に関わる私たちは、その方の人生だけでなく残されたご家族もケアの対象だと思っています。
これからも患者さんだけでなく、残されたご家族の人生にも思いを向けながら、寄り添う看護を続けていきたいと思います。
